サステナブルな取り組みにおける顧客コミュニケーションとは【イベントレポート】

2023-09-28
サステナブルな取り組みにおける顧客コミュニケーションとは【イベントレポート】

6月30日(水)に弊社主催にて、オンラインイベント「サステナブルな取り組みにおける顧客コミュニケーンとは」を開催いたしました。オールバーズ合同会社(Allbirds)、三菱商事ファッション株式会社(NAGIE)、株式会社okos(Q-SUI)、株式会社トラストリッジ(ELEMINIST)の4社にご登壇いただき、サステナブルな取り組みをされている各社の顧客コミュニケーションにおける考えや取り組みをお伺いしましたので、本記事では内容を一部レポートいたします。

目次

Z世代の意識や価値観の変化


「サステナブル」に関する認知やその取り組みの広がりに関して、特にミレニアル/Z世代は、学校教育などで学習する機会もあり、早期から触れてきたため上の世代以上に関心が高まっています。(以下データ参照)そのため今後はサステナブルを意識した購買行動がますます拡大することが考えられ、企業はそれらの世代の理解やコミュニケーションが重要になってきます。

SDGsについての認知調査

引用:第4回「SDGsに関する生活者調査」(株式会社電通マクロミルインサイト)

世代別では10代の認知率が7割を超えもっとも高い。

生活者の変化について

まずは、各社が感じている生活者の変化についてお伺いしました。

Allbirds 蓑輪:
上記の認知度のデータを見て興味深かったのは、SDGsについて「内容まで含めて知っている」層の伸び率が思ったより高いことです。Allbirdsは昨年1月に原宿で一号店をオープンし、初めは40~50代の方でサンフランシスコ出張の際に買ったことがある方などが訪れていました。しかしコロナを背景に若い方が増えました。ブランドに共感してくださり、サステナブルな取り組みを理解してくれた方々が増えたことを実感しています。

Q-SUI 安東:
以前は環境負荷に対してアクションしている人は海外での体験やドキュメンタリー映像を見てなど、センセーショナルなきっかけが多かったように思います。ただ、私たちが大学生とコミュニケーションをとる中で、アクションへの一歩踏み出すためにはメディアやブランドの発信があった方がうまくいくのではと感じています。

ELEMINIST 中嶋:
メディアを運営する中で、「エシカル」や「サステナブル」を発信することがかっこいい、かわいいというふうに認識が変わってきたように感じています。企業側は想いをぶつけるだけでなく、「みんなでやろう」というようにコミュニケーションが柔らかくなっていき、それに巻き込まれる人が多くなり、その方々がSNSで発信することによりさらに輪が広がっていると感じています。

NAGIE 茨城:
「エシカル」や「サステナブル」が一つのスタイルになってきたような気がしますよね。憧れの対象として、かっこいいやかわいいと同じように、そのような活動も憧れの一つになってきている気がします。

コミュニケーション戦略・方法について

3ミニッツ 崔:
コミュニケーション戦略、意識している点などお伺いできればと思います。

NAGIE 茨城:
クチコミ=最強のマーケティングツールで、個人に発信していただくことが大事だと考えています。企業としてはその人たちを惹きつけるビジョンや熱が大事で、僕たちの想いに共感してくれる方々に共犯者として一緒に発信して欲しいです。そのため、我々は熱を伝播するようなコミュニケーションをとるようにしています。

Allbirds 蓑輪:
すごい大事ですよね。皆さん色々な情報を手に入れており、本物を見抜きます。私もインフルエンサーの方とご一緒するときに大事にするのは、その方のフォロワーではなく、コメントに対して必ず返しているか、または少なくてもいいねをしているかなど人となりです。ファンの方々に熱量を持って接しているかはインフルエンサーの方とお仕事するうえでは重要なポイントになるのではないかなと思っています。

3ミニッツ 崔:
今回、事前に生活者の方へアンケートをとったところ、企業とのコミュニケーションに関してインタラクティブなコミュニケーションを好む方が多くいらっしゃいました。Q-SUIでは何かインタラクティブなコミュニケーションで意識されていることはありますか?

Q-SUI 安東:
一歩目を踏み出した人の次の一歩をつくるコミュニケーションと、最初の一歩を踏み出すためのコミュニケーションは全然違うと思います。後者はとても難しい。最初の一歩を踏み出すために必要なこととして、物理的なことと情緒的なことがあるとしたら、企業は物理的な方が得意です。情緒的な方は、企業よりもその人の友人や家族、信頼しているインフルエンサーの方々の方が得意で、それが両方あるのがInstagramなどのソーシャルメディアだと思っています。企業アカウントとして、そこにお邪魔させていただくときに、言いたいことを言うのではなく、皆さんが聞きたいことを言えるように、余白を残していく。そうすると、ユーザー同士がコミュニケーションをとったり、あるユーザーさんにとって点だったものが面になる。その時に、行動変容が起きるのかなと仮説として持っています。
そのため、Instagramでは言いたいことだけを言わないというのを気をつけています。

Allbirds 蓑輪:
Allbirdsの店舗に行くと「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」と言われます。お客様はリスペクトしていますが、ある意味対等な関係性になるようにしています。Instagramでも、基本的にはコメントに返信するようにしたり、ストーリーズでメンションがあった時もリアクションするようにしており、中にいる人の人となりがわかっていただけるようなコメントをしています。

突然コメントを送ったとしても多くの人は嫌がらなく、逆に距離が近づきます。「実はあの靴のあの色が欲しいんです」や「もう少し靴紐長くして欲しいんです」などお客様からのフィードバックをいただくことができる。Instagramはマジカルなツールだと思っています。

ELEMINIST 中嶋:
ELEMINISTでもコメントへの返信や、編集長自らDMに返信するなどSNSでは一方的なコミュニケーションにならないようにしています。

Allbirds 蓑輪:
炎上のリスクより享受するメリットの方が大きいですよね。もっとフラットでオープンな関係で対話してもいいのかなと思います。

ELEMINIST 中嶋:
気をつけていることとしては、「意見を押し付けない」ことです。今の時代多様性がありいろいろな考え方があります。それぞれの意見を尊重しつつ、より良い選択肢があれば提示しますというコミュニケーションをするようにしています。細かいルールを設けているわけではありませんが、その軸があるのでELEMINIST全体でそのようなコミュニケーションになっている気がします。

3ミニッツ 崔:
インフルエンサーを活用したPRが増えていますが、事前アンケートでそれに対してどう思うかを聞いたところ、「インフルエンサーが本当にすすめる商品であればPRでも構わない」「インフルエンサーPRは商品を新しく知る機会なのでいいと思う」などポジティブな意見の方が多くありました。インフルエンサー施策についてはどのように考えていますか?

Allbirds 蓑輪:
大事なのはフォロワーではないと思っています。元々私は、ナイキとユニクロでスポーツマーケティングを行っていましたが、どういう選手と契約するかはその選手の人となり、教育、親御さんなど周りの環境は見るべきポイントでした。インフルエンサーに関しても、なるべくInstagram以外でも人となりを確認するようにしたり、Instagramではコメントの仕方など確認するようにしています。

今後の取り組みについて

3ミニッツ 崔:
最後のテーマですが、今後の取り組みについて各社にお伺いできればと思います。

NAGIE 茨城:
NAGIEはまだまだ小さいブランドなので、まずは熱を広げていくことをやっていきたいです。また、その共感の輪を広げるためにエビデンスやブランドのバックボーンをお見せして深さを出していきたいです。
アパレル業界として明らかに変わらなければいけない中で、商社である我々はお客様とも製造側とも繋がっているユニークなポジションなので、様々なところで適正に切り替えていくという姿勢も、NAGIEを通じて示していけたらと思っています。

Q-SUI 安東:
Q-SUIは、Instagramの中でユーザーさん同士がすでにコミュニケーションしてくださっています。なので、Q-SUIとしてはその場を提供する場所であり続けたいです。

また、一歩めを踏み出すというところでは、マイボトルやエコバッグは比較的ハードルが低いことだと思っているので、「環境のためにマイボトルを使おう」というだけではなくて、荷物が軽くなるなど様々ないいことがあるということを発信しながら広めていけたらと思っています。

Allbirds 蓑輪:
Allbirdsでは、2025年までにカーボンフットプリントの量を半分にし、2030年までにゼロにしたいと思っています。どのようにして減らすかを逆算しますが、いろいろな方法でアプローチしても足りず、非常に大変なことです。それに対してどのようにアプローチするべきか、社内各部門で調査したり実行したりしています。

ELEMINIST 中嶋:
ELEMINISTはメディアではなくプラットフォームに近づいていきたいと思っています。一方的なコミュニケーションをするのではなく、色々なコミュニケーションがある状態を作りたいです。企業だけではなく、NPOやNGOの方々にも協力していただき、その中でエシカルやサステナブルの情報を得られ、発信もできるプラットフォームを目指しています。やるべきことが多すぎて不安を抱えている方が結構多く、それを解消できるようになりたいです。

3ミニッツではサステナブルな取り組みにおける顧客コミュニケーションにのご支援を積極的に行っています。
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