【イベントレポート】オルビスマーケティング戦略担当者が語る!Instagramを活用した顧客コミュニケーション

2020-07-15
2023-09-28
【イベントレポート】オルビスマーケティング戦略担当者が語る!Instagramを活用した顧客コミュニケーション

3ミニッツのSNSマーケティング事業部が、1/28(火)にInstagramマーケティングに関するイベントを開催。今回は2018年にリブランディングを行ったオルビス株式会社を招き、コミュニケーション戦略の変化の中でどのようにInstgaramを活用しているのか、これまでのお取り組みと今後の目論見をセッション形式でお話を伺いました。

原点に立ち返った、オルビス社のリブランディング

イベント_オルビス様

村田:
2018年8月にブランドメッセージを一新し、同年10月にリブランディングを開始されました。どのような経緯でリブランディングに至ったか、全体像を教えてください。  

諸町:
オルビスは1987年、バブル絶頂期に誕生したブランドです。世の中が豪華で華美なものを求め、大手化粧品メーカーを中心に年齢に抗うアンチエイジングの価値観が形成されるなか、オルビスは「与えるのではなく、引き出すスキンケア」と真逆の価値観を提示。当時はまだ珍しい実店舗を持たない通販会社として、チャレンジングなスタートを切りました。その後バブル崩壊後の1990年から2000年代前半にかけて、シンプルで本質的な価値を志向する方が増え、オルビスの思想がマッチしたことも後押しし、成長を遂げてきました。

この頃のビジネスドメインは「カタログ通販」。毎月カタログが自宅に届くタイミングが山となり、電話やECからご注文いただいていました。毎月お楽しみいただけるよう、新商品を続々展開し、スキンケア・メイクから健康食品、靴下まで。多岐にわたるラインナップ、大量のSKUを保有し、キャンペーンやポイント還元といった販促も盛んに行っていました。
そんな通販リテーラー型のビジネスでチャレンジを続けてきましたが、大手ECプラットフォーマーや、「オーガニック」「ナチュラル」ブランドといった新たなチャレンジャーが現れたことで、次第にブランドプレゼンスが低下、成長の伸び悩みに突入しました。 そんな中で2018年に現社長である小林が就任し、リブランディングがスタートしました。ビジネスドメインを「カタログ通販」から「スキンケアを中心としたビューティーブランド」へと舵を切り私たちは何者なのかを再定義したことが1番の変化です。

一方で創業当初から変わらず大切にしていた「肌が本来持つ力を信じて、引き出すこと」という原点にも立ち返り、ブランドコンセプトとして「ここちを美しく。」を掲げました。年齢や立場にとらわれず、自然と湧き出てくるあなたらしさが美しさであり、ここちのよい状態。その人が持っている力を引き出すことで、自分らしいここちよい年の重ね方「Smart Aging」へ導くことを目指し、新たに歩み始めています。      

オルビス様ブランドビジュアル

オルビス社ブランドビジュアル

お客様との接点・体験をすべて新生オルビスへ

イベント_オルビス様

村田:
リブランディングによって打ち出すメッセージを変えていく中で、お客様とのコミュニケーションもこれまでとは変わってくると思います。どのように変化しましたか?

諸町:
リブランディングを打ち出した2018年10月に、「ORBIS U(オルビスユー)」というスキンケアシリーズ、続けて2019年1月、日本で初めて発売した肌へのトクホ商品、飲むスキンケア「ORBIS DEFENCERA(オルビス ディフェンセラ)」と新たなオルビスの象徴となる商品を世に出しました。「見て、開けて、触って、使ってここちよい」「肌への確かな手ごたえ」を両立させ、ここちのよい毎日のパートナーでありたいという想いをのせた「ORBIS U」、塗るのが当たり前だったスキンケアの概念を変え、常識にとらわれず「飲むスキンケア」という新たな価値を創造した「ORBIS DEFENCERA」は、多くのお客様に手に取っていただき、ベストコスメ賞にも多数選出いただきデビューを飾ることができました。ブランドメッセージが市場に受け入れていただけたように思います。 その他、お客様との接点においても、機能や価格・ポイント還元が主だったコミュニケーションから、オルビスの想いを載せて、よりここちよいご提案ができるようブランドサイトの公開、ECリニューアルはじめアプリ、店舗を新しいオルビスの顔に整えていきました。 新たな取り組みとしては、リアル店舗での肌診断サービスや、アプリで完結するAIカラー診断をローンチ。メンバーシッププログラムといえばポイント還元だったところも見直し、2019年7月にはメンバーシッププログラムを刷新しました。 メンバー向けのサービス整備やイベントを通じた深いコミュニケーション機会を設けるなど、着手し始めています。 まだまだ道半ばではありますが、ブランドとお客様との繋がりを、プロダクト軸からブランド軸へ発展させていく仕込みを続けています。
本日のテーマであるInstagramに関してもリブランディングのタイミングで過去の投稿を全て削除し、新たにスタートしています。

TwitterとInstagramの使われ方の違いは、商品を手にする前と後

イベント_オルビス様

村田:
新しいメッセージを中心として、オンラインオフライン共に大きくコミュニケーションを変えていらっしゃるのですね。本日のテーマでもあり媒体として重要になってきているSNSですが、それぞれのSNSはどのような役割で考えていますでしょうか?

諸町:
弊社ではFacebook、LINE、Instagram、Twitter、Youtubeを活用していますが、まだ現時点ではそれぞれの役割を明確に分けていません。メディア特性を活かした活用は必要ですが、まずはやってみてオルビスファンの方に応えられる発信は何か、フォロワーの反応を見ながら調整をはかっている段階です。
例えば、LINEについては新規獲得を目的にトライアルセットを中心としたプロモーションを展開していますが、当然すでにご購入いただいているお客様も増えていきます。そこで、「オルビスが初めての方」「ご愛用いただいている方」それぞれに合った情報をお伝えするメニューを設けています。テスト中の施策も多いです。

イベント_オルビス様_LINE
オルビス公式LINE
 初めての方向けにはトライアルセットのご提案(左)、利用者向けには体験セットをご提案(右)

Twitterについてはキャンペーンの実施や、ベストコスメ賞受賞などのニュース速報、またライトでカジュアルなツイートでコミュニケーションをとっています。Instagramは特性上ビジュアル中心のコミュニケーションとなるため、商品を手に取った後の写真を投稿・閲覧するのに比べて、Twitterは手に取っていただく前からブランドに関する言及や、ユーザーのクチコミも相まって、リアルタイムで評判形成がされ拡散されていくコミュニケーションが生まれています。

 

オルビスTwitter公式アカウント

Instagramでは「会いたいあの人」を目指す

イベント_オルビス様

村田:
Instgramは現状どのような考えのもと運用されていますでしょうか?

諸町:
Instagramについては、ブランディングを目的に運用しています。 リブランディング初期フェーズでは、新たなオルビスの顔としてブランドストーリーや、世界観を中心に発信し、次にORBIS UやORBIS DEFENCERAの象徴商品をメインに、その後徐々にその他商品も含めた情報発信を行ってきました。
象徴商品でタイムラインが埋まってくる時期までは面としてブランドを語るような見せ方にこだわってきましたが、今後の展開を見据えた際に、果たして綺麗なクリエイティブの投稿=Instagramを活用したブランディングなのか。ユーザーの「見たい」に応えられているのだろうかと疑問も湧いてきました。そこで、リブランディング初期フェーズの面がある程度整った段階で、「美術館からコミュニケーションの場へ」と意識を変え、フォロワー視点での発信を強化していきたく、3ミニッツさんとご一緒することになりました。 Instagramを運用しながら私なりに捉えているフォロワーとアカウントの関係性は、「人」です。「よく見るあの人」「会いたいあの人」のような存在になれたらいいなと思っています。人の第一印象同様、InstagramでもプロフィールやアカウントTOPページは重要ですし、出会わないことには始まらないので、ハッシュタグを最適化したり、ユーザーさんの投稿を増やしていただくことで出会いを増やしています。
そうして「よく見るあの人」に共感・好感を築いていくなかで、フォロワーがInstagram以外での口コミに触れたり、何となくブランドや商品を想起して「また会いたいな」と思ってくださった際に、Instagram上に応える情報がある状態にしたいと思っています。

リブランディングを開始してから、大きく3回のクリエイティブ設計変更があった。

村田:
具体的にどのような施策を実行されていますか?

諸町:
例えばハッシュタグに関してですが、初めはブランドに関するハッシュタグだけを付けていました。今では「#Howto」などの情報カテゴリや「#乾燥肌」といったシーン、「#コスメ好きさんと繋がりたい」のコミュニティに関するものなど様々な検索意図に合わせて付けています。加えて最近は「#飲むスキンケア」といったオリジナルのハッシュタグの定着を狙ったアプローチを取り始めました。

伊藤:
ハッシュタグの選び方としては、諸町さんの仰るように「商品情報」「シーン」「コミュニティ」などの情報ジャンルで選定するのに加えて、ハッシュタグの投稿ボリュームで選ぶのも非常に重要です。フォロワー数が多いとある程度投稿ボリュームのあるハッシュタグでも発見タブに露出しますが、少ないうちは露出しづらいのでアカウントに合わせて日々チューニングを行なっています。

村田:
Instagramをこれまで運用してきた効果としてはどのように感じられていますでしょうか?

諸町:
「また会いたい人」でありたいと先ほど申し上げましたが、その一つの事例としてネイルカラーがあります。それまでは商品カットだけを投稿していたのですが、「使い方も投稿してみましょう」とご提案をいただき、商品カットの投稿と一緒にネイルアレンジの仕方も同時に投稿しました。そうすると保存数が圧倒的に増え、実際に「やってみた」のようなタグ付けがされた投稿もありました。ユーザーに役立つ、意味のある情報発信ができ、コミュニケーションがとれたことが嬉しかったです。
投稿時は「#オルビスホリデーネイル」とシーズン限定のタグにしたため、投稿数に限りがあったのですが、少ないとはいえ投稿を見て同じタグを付けて投稿してくださった方がいます。今では汎用的な「#オルビスネイル」を使っているのですが、小さな反響も見過ごさず、日々試してみようの連続です。投稿するとすぐに反響が返ってくるので、楽しんでやっています。

ユーザーによる「#オルビスネイル」のタグ付けがされた投稿

Instagramを起点にリアルも含めたコミュニケーションへ

イベント_オルビス様

村田:
今後オルビス社はInstagramでどのようなところを目指しますか?目標などあれば教えてください。

諸町:
InstagramはじめSNSは発信すると反応がすぐ返ってくるのが特徴です。今後はそれを受け取るだけではなく、コンテンツでさらに応えるサイクルを回し、インタラクティブなコミュニケーションを発展させていきたいです。 投稿画像についても、試行錯誤を重ねています。クリエイティブを中心にブランドコントロールを担うメンバーと一緒に取り組んでいることもあり、その辺りは心強いです。 秒でスクロールされる世界で、目に留まりブランドらしさも両立させたクリエイティブの可能性を検証しながら、撮影スケジュール自体の組み替え、そもそも仮説検証が行いやすいオペレーションにも整える働きもしています。 SNS専任部隊がいるわけではないので、日々の運用は大変な部分もありますが、3ミニッツさまのご支援があって成立しています。 また、現在はストーリーズからECやブランドサイトへの遷移も行っていますが、それだけでなく例えば、発表会やイベントの様子、店舗サービスのご紹介など、フィードでは難しい、ライブ感やリアリティを共有できる発信も行うことで、ブランディングという目的が果たせるのではないかと思っています。

オルビス社公式Instagram(@orbis_jp

 

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